社内勉強会の概要と進め方

社内研修会と社内勉強会の違い

社内研修会と社内勉強会は似たような表現ですが、何が違うのでしょうか。辞書的に比較すると、「研修」と「勉強」は以下のような違いがあります。

  • 【研修】
  • ・学問や技芸などをみがきおさめること、現職教育(広辞苑)
  • 職務上の知識や技能を高めるために、ある期間特別の学習や実習をすること(明鏡国語辞典)
  • ・学問・技能などをみがき修得すること、特に、職務に対する理解を深め、習熟するために学習すること(大辞林)
  • 【勉強】
  • ・学問や技術を学ぶこと、さまざまな経験を積んで学ぶこと(広辞苑)
  • ・学問や知識・技術などを身につけるために学ぶこと、経験をすること、(将来のためになる)その経験(明鏡国語辞典)
  • ・学問や技芸を学ぶこと(大辞林)

赤字で示しているように、「研修」は今の仕事で必要とされる知識や技能を身につけることです。つまり、学んだことを仕事でいかさなければならないのです。研修会の場合、参加が義務づけられている理由はこのあたりにあります。

一方、勉強会の方は任意性が高く、会への参加は意欲のある人だけが出席するのが基本です。今の仕事に直接役立てるというよりも、将来にそなえた布石としての色あいが強いです。

社内勉強会が定着する企業は伸びる

勉強会は社員が自主的に企画して始まり、少しずつ社内に広がり定着していくのが理想です。しかし、そう上手くいかないのが現実です。

就業時間内にやってもかまわないのか、何について勉強するのか、誰が講師になってくれるのか、場所はどこでやるのか、参加者の募集をどうやって告知するのか等、越えるべき課題や確認事項がたくさん出てきます。

最初は困難も多く手間もかかるでしょうが、社員自ら主体性をもって会に臨んでくれることは、人材育成や能力開発に大きく貢献してくれます。

社内勉強会が”当たり前”になってくれば、社員の学習意欲もさらに高まり、自らのスキルを向上させるようになっていきます。

人が成長すれば、当然企業も伸びていきます。

社内勉強会は小さく始めて大きく育てる

企業の中に学ぼうとする雰囲気や企業風土がないと、勉強会開催のハードルは高いでしょう。最初に始めるときは、推進役が必要です。その人が中心になって勉強会のお膳立てをしないことには前に進みません。

勉強会に参加したいと思っている人は案外いるものです。彼らにどんな勉強会をやるのか、いくつかのメニューを用意して提示してあげればイメージができて、参加意欲を高めやすくなります。

肝心の勉強会の内容で悩むこともあるかと思いますが、選定が難しければ参加者のやっている仕事を題材にするのも方法です。自分たちがかかわる業務については、みんな関心をもっています。また自分が担当する業務以外のことを学ぶことも、視野が広がり応用力を身につけるきっかけにもなり得ます。

業務に影響を与えるような長い時間だと参加しにくいので、最初のうちは短時間の勉強会でスタートしてもいいでしょう。たとえば30分程度なら時間調整もさほどむずかしくありません。短い時間でやると決めておけば参加者も集中できるのでおすすめです。

もっと短い時間しかとれないのであれば、短時間の勉強会を回数でこなす方法もありです。

とにかくはじめのうちは、コンパクトな勉強会でスタートしてみましょう。

社内勉強会継続化のコツ

開催した勉強会は、その様子を部門全体に伝えるようにしましょう。新たに勉強会への参加を希望する人を増やしていくとともに、講師役の人のモチベーションを高めてもらう狙いがあります。

私が実際にやっていた方法は、部門のブログを利用したものでした。勉強会の様子を何枚かデジカメで撮影し、その日やった内容と合わせてアップしていました。

勉強会が終わるとすぐさま参加者全員にメールを送り、感想と講師に対するメッセージをブログに書き込んでもらうよう依頼しました。ブログであれば部門内のみんなが見ることができ、雰囲気を伝えるのに適しています。講師も参加者全員からメッセージがもらえ、勉強会の評価もわかるので、やりがいにつながります。

当日の資料は部門で共有可能な場所に保存してあり、後々活用できるようにしていました。勉強会の様子をボイスレコーダーで録音し保存しておくのも一つの方法です。

せっかく開催している勉強会ですから、当日の参加者だけでなく他の人にも活用してもらえれば価値がさらに高まります。

参加者自ら講師役のできる分野の勉強会はどんどんやりましょう。講師をやること自体が、とても勉強になります。また、参加者から学んでみたいことを聞いたりして勉強会のバリエーションが増えれば、貴重な”資産”として蓄積されていきます。