営業マンが社内研修講師

営業マンが社内研修で教えること

「営業マンが社内研修の講師をするって?」と不思議に思われる方も多いでしょう。「いったい何をおしえるんだ?」と疑問がわいてくると思います。

営業マンにも業界や流通チャネル等によってさまざまな形態の営業パターンやスタイルが存在します。講師役をやってもらいたいのは、特定の取引先を持っているルート営業の方たちです。

何をやってもらうかというと、営業マンが担当している取引先の紹介です。ルート営業の場合は商品の受発注やデリバリー業務などを、内勤の営業事務や業務の方が担当されていることがよくあります。 電話やFAX、メールなどで頻繁に取引先とやりとりをしているにもかかわらず、意外とその会社のことを知らないものです。

せっかくお客さまと頻繁にコミュニケーションをとる機会があるのですから、これをいかさない手はありません。営業マンだけでなく、サポートしている内勤の方たちも売上アップにつながる提案をするのです。

ひと言提案で売上増

提案といっても電話などでのやりとりの際に、ひと言そえるだけです。

「今度、こんな新商品が出るんですよ」

「今、この商品が人気でよく出てるんです」

「いつもの商品が品薄になりそうなんで、手配は早めがいいですよ」

営業マンがお客さまへ情報を伝えきれていないケースもあります。それをフォローする上でも内勤の方のひと言提案は有効ですし、懇意にされているのであれば、もっと踏み込んだ”発注のお願い”も可能でしょう。

そのためにも取引先のことを知っておく必要があるのです。

具体的なすすめ方の事例

この研修を具体的にどうすすめればいいか、事例をご紹介しながら説明します。

私が営業マネージャー時代にやっていた方法です。まず営業マンが講師をするわけですから、彼らへの動機づけが必要です。

私は営業マンにこう説明をしました。

「総務が毎日、みんなの注文を処理してくれているけど、彼らはほとんど取引先へ行ったことがない。どんな業種でどんな商売をしていて、組織はどうなっているのかを総務が知っていれば、先方ともっと濃いコミュニケーションがとれる。そのことは、みんなの営業活動にプラスになるはずだ。みんなもあらためて取引先のことを知れば、もっといい営業の方法に気づくかもしれない」

営業マンもメリットを感じれば、自ら行動を起こしてくれるものです。毎週一度、朝のミーティングの際、15分程度の研修の講師役を順番のこなしてくれました。

引き継ぎにも使える研修資料

15分という限られた時間での研修だったので、資料はA4用紙1枚にまとめてもらいました。 そこには会社の概要をはじめ、組織図やどんなビジネスをしているのかなどの情報が記載されました。

営業マン自身も”知っているつもり”のことが実はわかっていないことに気づき、キーマンが他にもいたことがわかったりして、その後の営業に役立てていました。

このような”研修資料”を作っておけば、営業担当が変わる際の「引き継ぎ資料」にもなります。営業マンの頭の中に蓄積されがちな情報を文書化することで、「営業マン⇔取引先」という関係が「会社⇔取引先」に変わってきます。会社と会社の関係が出来ていないと、営業担当者が代われば売上に大きく影響するリスクがはらんでいます。

効果のある社内研修

営業マンの講師による社内研修は業務に直結した内容ですので、講師も受講者も”当事者意識”をもちやすく、効果があらわれやすいです。

営業マン自身の能力開発にもつながりますので、営業部門の方は取り組んでみましょう。