部下は育てられないが、邪魔するのはカンタン

元部下や後輩が昇進・昇格したりすると、

「あいつは俺が育ててやった」

「今のあいつがあるのは、俺のおかげだ」

などと声高に吹聴する人々が現れてきたりします。しかし実際のところ、能力を磨き、実力を発揮して台頭してくるような人材は、誰のもとで仕事をしても、それなりの実績を残すことができるものなのです。

上司や先輩の指導やアドバイスがなくても、自分で”盗み取る”力も持っていたりします。自分の仕事の参考にしたり、取り入れたりするだけでなく、好ましくないことでも”反面教師”として糧にしてしまうでしょう。 そして旺盛な好奇心を発揮し、自分で考え、何事にも前向きにチャレンジしていく、そんな素養を兼ね備えているものです。

まったく、やる気がなく、能力も低い人のモチベーションを高まて、バリバリやれる人材に育てたのであれば、「俺が育てた」ことになるのでしょうが、そんな事例は見たことがありません。

人が育たなくては、企業や組織の成長は望めないことは誰にでもわかることです。発展し続けるためには、一人ひとりの能力アップというものが欠かせません。そのためには、自ら成長しようという意欲を持った人材の採用が不可欠になってきます。

人が成長するには、”育つための環境整備”も大事ですが、自ら伸びたいという気持ちがもっとも重要なのです。 ”伸ばそうとする力”と、”伸びようとする力”が、うまく噛み合わなければ、発育は滞ってしまいます。 ですから企業は成長しそうな種を発見し、自社に取り込むことに最大限、注力しなければなりません。

獲得した種がすべて順調に育ってくれれば良いのですが、現実にはなかなかそうならないものです。 せっかくの”成長種”も育てる環境しだいでは、育たなくなってしまうリスクもあります。 養分のある土に種をまき、適度な肥料と水をやって、陽があたりやすいようにしてあげればいいのです。

ところが、痩せた土地に放り投げられ、無節操な育成しかされないケースも少なくありません。 植物は土の中の水分が減ると、だんだんと萎れていき、しまいには、いくら水を与えても回復できない状態になってしまうといいます。

枯れた葉

それぞれの種の発育条件を見誤らないことが、人材育成には何よりも重要なことなのです。 直属の上司には、重大な責任が課せられていることを十分に自覚し、部下に接しなければなりません。

責任が大きいからこそ、やりがいも大きいのがマネージャーの仕事です。

発芽の邪魔

2011.08.23